ナノ表面科学の提案



ナノ表面科学とは?

固体表面の超微細パターニングには,トップダウン・ボトムアップ2つのアプローチがあります. トップダウンは半導体リソグラフィーやMEMSに代表されるような描画技術ですが,微細化寸法には限界があります. 一方,ボトムアップは究極的には原子を一つ一つ並べる方法で超微細構造が形成できますが, 時間がかかる上にデバイスに用いるような広い面積に形成することは不可能です. 近年,ボトムアップ手法として材料固有の性質による自己組織化を利用した微細構造形成が注目されています. 自然にパターン構造を形成する上に,そのスケールがトップダウンでは形成できないオーダー(ナノメートル)であるため種々のデバイス応用が提案されています.

半導体表面にも同様な現象が見られます. 特に微傾斜表面(主要面から傾いた面方位)上ではある条件でステップやファセット構造が周期的に自己組織化します. この周期はトップダウンでは得られないオーダーであり,上図に示されるようなマクロとミクロの中間的なスケール(いわゆるメゾスコピック領域)になります. この表面を「ナノ表面」と定義し,その上での様々な現象を科学する学問を「ナノ表面科学」と名付けました. ナノ表面科学はいくつかの分野に分かれます.


  1. ナノ表面形成の物理(なぜ周期化するのか?)
  2. ナノ表面化学(表面反応場)(ステップやファセットを修飾し,局所的反応場とする)
  3. ヘテロ相互作用の物理・化学(ヘテロ物質系(有機・無機を問わず)とナノ表面との相互作用を科学し,新しい物性を探る)