Tanaka Laboratory

九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学部門

Kyushu University, Faculty of Engineering
Department of Applied Quantum Physics and Nuclear Engineering

測定装置 Measuring instrument

原子間力顕微鏡 AFM

原子間力顕微鏡（Park systems XE-100） Atomic Force Microscope (Park systems XE-100)

試料表面を非常に小さな探針でなぞり試料と探針の間に働く原子間力を検出することで，表面形状の観察を行う装置です．特殊な環境・条件を必要とすることなくナノメートルレベルでの観察を行えるため，多くの分野で幅広く使用されています．グラフェンやSiCナノ表面構造をメインテーマとして扱う当研究室において最も利用頻度の高い実験装置がこのAFMです．

この写真は原子間力顕微鏡の本体です．サンプルを取り付けたあと、備え付けてある光学顕微鏡を見ながらサンプルの観察したい位置を合わせ，探針の距離調節も行います． AFM is the experimental device which is used to observe the surface morphology of materials. AFM probe moves above the surface and detects the atomic force between sample and probe. AFM has been used in many fields of study because we don't have to prepare special conditions to use AFM and we can observe the surface on a nanoscale with AFM. In our laboratory, we often use AFM to observe the surface of Graphene and SiC on a nanoscale. (Written by Shioji)

ナノスケールの測定をするので、そのままだと周りの振動により測定が乱れてしまいます。そこで原子間力顕微鏡は写真のような免震装置の中に入れて、PCから操作します。

ラマン顕微鏡 Raman Spectroscopy

顕微ラマン分光装置（ナノフォトン RAMAN 11） Microscopic Raman Spectroscopic System (nanophoton RAMAN 11)

単色レーザー光を物質に照射すると微弱な光が散乱されます．この散乱光の中には入射光と異なる振動数を持ったものが含まれており，この現象のことをラマン散乱といいます．入射光とラマン散乱光の振動数の差は「ラマンシフト」と呼ばれ，物質の格子振動と対応しているため，これを測定することで分子構造の詳細を調べることができます．この非破壊分析法をラマン分光法といいます．この装置では最大倍率200倍の光学顕微鏡で試料を観察しながら目的の位置にレーザーを照射し，ラマン分光測定を行うことが出来ます． When a monochromic laser light irradiate the substance, weak lights are scattered. There are some lights which have different frequency from the incident light. This phenomenon is called Raman scattering. It is called Raman shift differences between incident light and Raman scattering light. You can examine molecular structure by measuring Raman shift. This nondestructive analysis method is called Raman spectroscopy. This device can perform Raman spectrometry by irradiating a laser while observing a sample by an optical microscope.

四端針測定装置 Four-terminal sensing device

赤外線加熱炉 Infrared heating furnace

1号炉
(水素えっちゃん) Number 1 Forge

赤外線加熱炉（1号炉） High Temperature Etching Machine (number 1 forge)

赤外線ランプによって黒色SiC焼結体サセプターを加熱する装置です．石英管にガス(水素や窒素)を流すことにより雰囲気を調整することが可能です．赤外炉は ULVAC理工製で，あとはすべて手作りです．現在のところ最高温度は1500℃程度です． SiCナノ表面およびSiON超薄膜の形成に使っています．また，適当なガスを流すことによりCVD装置としても使えます．

2号炉
（CVDえっちゃん） Number 2 Forge

赤外線加熱炉（2号炉） High Temperature Etching Machine (number 2 forge)

1号炉(水素えっちゃん)と同じ赤外線加熱炉ですが，CVD用にいろいろなガスを流せるようにフランジを設計しており，現在はエチレンガス(C₂H₄)を流してグラフェンのCVD成長に用いています． 3系統の排気系を取り付けており，大気圧から10^-3Pa程度まで雰囲気圧力をコントロールすることができます．最高温度は1600℃程度です．

高周波加熱炉 High-frequency (radio frequency) heating furnace

RF
（ビッグケニー） RF

高周波(RF)加熱CVD装置 High-frequency heating CVD System

エピクエスト製の横型の高周波(RF)加熱CVD装置です．もともとSi系のCVD装置ですが，現在はSiC表面熱分解炉として用いています． 1600℃以上の高温にすることが可能で，比較的大きな基板(2インチ)上への成長ができます． 30kWという高圧電源を使うので電気代を気にしながらの実験です．超小型のケニーは5kWで，同様な実験が可能なため，使用頻度が下がっています．グラフェン以外の系のCVDに使うことも考えています．名前の由来は，ケニーより大きいからです．

小型RF
（ケニー） Compact RF

小型高周波(RF)加熱炉 Compact High-frequency heating CVD System

SiCの表面熱分解によってグラフェンを形成する装置です．高周波(RF)を用いて黒鉛サセプタ—を1600℃くらいに加熱し(Ar雰囲気)， SiCの表面からSiを脱離させることで，残ったCが再構成し，グラフェンがエピタキシャル成長します．超小型で高温を実現できる縦型RF炉で，ケニックス(株) と共同で開発しました．

リアクターの下部からガスを導入し，サセプタ—は熱対流の影響を極力押させることが可能な設計で，層流に近い条件が実現できます．グラフェン成長のみならず，反応性ガスを導入することによって他の材料のCVD成長も可能です．サンプルの大きさは，概ね10mm角ｘ２です．

MBE装置 Molecular beam epitaxy

窒化物MBE
（ナイトライダー） Nitride MBE

超高真空窒化物MBE装置（ULVAC製） Ultra High Vacuum Nitride MBE Apparatus

超高真空中において，原料である固体(Ga, Al)を蒸発させ，分子線として基板表面に到達させることによって原子レベルの結晶成長ができます．本装置は窒化物半導体の結晶成長を行うため，窒素源としてRFラジカルセルを有しています．RHEEDにてその場観察ができるため，結晶成長中の表面の動的観察ができます．現在は，SiON表面を用いた低転位GaNの成長を目指した研究に用いています．北大の某研究室より譲り受けました．

MBE / RHEED
（Akina） MBE / RHEED

超高真空MBE装置（MBE / RHEED） Ultra High Vacuum MBE Apparatus (MBE / RHEED)

試料表面の構造解析をする装置です．試料表面にすれすれに電子線を入射し，表面回折電子を蛍光スクリーンに映します．直接通電で試料の温度を変えながら回折像がとれるので，表面構造の動的な変化を見ることができます．入射角度を変化させることができるので，ロッキングカーブをとることもできます．チャンバーにはCやSiなどの蒸着源を取り付けており，MBE成長することもできます． This is the equipment that analyzes the structure on surface of sample. It incidences the electron beam within the surface, and reflects the electrons diffracted on surface on a fluorescent screen. By direct turning on the power, we can take an diffractive image while changing the temperature of a sample. Thereby we can also observe dynamic changes of the surface structure. We mainly observe the process of forming graphene by self-reconstruction of SiC surface. Moreover we can observe the rocking curve by changing the incident angle. (Written by Maeda)

SiC基板表面にカーボンの分子線を照射し，分子線エピタキシー(MBE)によるグラフェン成長中のSiC表面構造の経時変化を観察した動画です．初期表面の (√3x√3)R30° 構造がカーボンの照射によりグラフェン前駆体の (6√3x6√3)R30° 構造へと徐々に変化していく様子が観察されます．詳細については以下の論文を確認ください．

T. Kajiwara, Y. Nakamori, A. Visikovskiy, T. Iimori, F. Komori, K. Nakatsuji, K. Mase, and S. Tanaka, Phys. Rev. B 87, 121407 (2013).

MBE / LEED / RHEED
（ディラックMBE） MBE / LEED / RHEED

超高真空MBE装置（MBE / LEED / RHEED） Ultra High Vacuum MBE Apparatus (MBE / LEED / RHEED)

超高真空中( < 10^-10 Torr)での結晶表面の構造制御・観察を行っています． C・Si・Ge・Sn等を照射することが可能であり，様々な表面構造を作製しています．解析装置としてRHEED・LEEDを備えています． RHEED・LEEDは電子線の回折像から表面構造を観察する装置です．回折像から表面構造の周期性や対称性が分かります． RHEEDは成長過程のその場観察に用いており，in-vacuo LEEDは成長後のより詳細な観察に用いています． LEEDの回折強度のエネルギー依存性から結晶構造の特定にも取り組んでいます．ここで得られた実験結果をベースとして，東大物性研小森研究室が所有するXPS/角度分解光電子分光装置(ARPES)を用いた電子状態の観察を行っています．将来的には走査型トンネル顕微鏡(STM)を接続し，実空間の原子像観察や電子状態の解明にも用いる予定です．

工作機械 Machine tool

ダイヤモンドカッター Diamond‐cutter

SiCやサファイヤは硬いためダイヤモンドで切断する必要があります．ウェハーの切断やTEMサンプルの作製に用いています． SiC and sapphire are very solid. So Diamond-cutter is very useful to cut them. We use Diamond-cutter to cut SiC wafer and make the sample for TEM. (Written by Shioji)

ボール盤 Drilling machine

基本的に研究室では自分で装置を作り・修理するということを重要視しています．ボール盤は何かと役に立ちます．そのうちフライス盤も欲しい！ We think it is important to prepare and repair the experimental device by ourselves. So Drilling machines are very useful and we want Milling machine. (Written by Shioji)