核燃焼プラズマにおける反応生成粒子放出スペクトルの拡がり
原子核反応をおこなう反応前の粒子が静止している場合は、反応後に放出される粒子の運動エネルギーは一意的に決まります(例えば、T(d,n)α反応では、α粒子の放出エネルギーは3.5MeV、中性子は14.1MeV)。しかしながら、核融合プラズマ中では、反応を起こすイオンが静止しているわけではありません。高温プラズマは、大気と比べ高温・低密度のため、粒子間の衝突頻度が小さく、Maxwell分布からその平衡分布がずれることもしばしばあります。このような状態では、核融合反応によって放出される粒子のエネルギー・運動量分配は一意的に決まるわけではなく、どの程度のエネルギーをもった、α粒子と中性子がどのような割合で、どのような方向に放出されるのかを正確に知っておく必要があります。
様々なプラズマ状態で、反応生成粒子がどのような放出スペクトルを持って放出され、このスペクトル形状が炉心特性にどのような影響を与えるのかを明らかにしようとしています。
Anisotropic neutron emission spectrum and its utilization for verification of nuclear elastic scattering effect in proton-beam-injected deuterium plasmas,
H.Matsuura, et al.,
IEEE Tran. Plasma Science Vol.46, 2301 (2018). [PDF File]
Anisotropic fusion-product generation and emission spectra in beam-injected DT plasmas,
H.Matsuura, et al.,
J. Plasma Fusion REs. SERIES Vol.9, p.487 (2010). [PDF File]
Modification of alpha-particle emission spectrum in beam-injected deuterium-tritium plasmas,
H.Matsuura, et al.,
Physics of Plasmas Vol.16, 042507 (2009). [PDF File]
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